能登半島地震に被災された皆さんへ心よりお見舞い申し上げます。
2024年 1月の大地震および9月の大水害に被災され大変な思いをされている皆さんに少しでも寄添った住宅を提供できないかとの思いで専門技術者たちと新規に技術開発を行ってきました。
私たち(株)野田設計では2000年より木造建築物等の基礎のPCa化に取り組んできました。
そうした中で、前述のような能登半島地震M7.6(最大震度7)により奥能登は甚大な被害を受け、今でも多くの皆様が一時避難所の仮設住宅で生活されています。
今後、これらの仮設住宅は2年後に解体され、引越しが余儀なくされ、今でも困難な生活を送られていると思います。
この様な災害に対して、仮設住宅は永久に使用できる災害住宅が求められると思います。
その対策として、私どもはこのパンフレットのPC=BASEが被災者に寄り添い、地域社会、地域行政の災害対策の選択肢になれば有難いと願っています。
PC=BASE主任開発者
株式会社野田設計
代表取締役 野田光明
PC=BASE開発にあたって
戸建て住宅は、2000 年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」施行以降、耐久性や安全性が保証されたものが供給できるようになっています。
しかし、2000 年以前の木造戸建て住宅は、接合部や基礎構造の耐震性不足を要因とした地震被害が懸念されます。残念なことに令和 6 年能登半島地震では、石川県だけでも約9.1 万棟の住宅が被害を受け、そのうち全半壊が約2.5 万棟にもなっています。
この地域の復旧・復興を促進するためには、安定した生活ができる仮設住宅が短期間に多数建設されていますが、 基礎が建築基準法に適合しないため長期の生活拠点となる恒久建築物ではありません。 戸建て住宅の基礎を短期間で簡単に建設することはできないだろうか? その課題を解決するのがPC=BASEです。
耐久性・安全性に不可欠な建築基準法の仕様規定を満足し、かつ、高い品質が確保できる工場生産したプレキャスト型枠を使用した工法です。
他のプレキャスト化工法との違いは、特殊な施工機材を必要としないので、建築施工管理者の指導があれば一般の方でも建設が可能になったことです。
今回の震災では仮設住宅の入居期限が 3年に延長されましたが、開発したPC=BASEを利用することによって永住できる家が短期間で建設され、 被災した方々の復興の礎に貢献できれば幸いです。
PC=BASE 開発者
福山大学工学部建築学科
教 授 都祭 弘幸
施工者としての意見
通常、戸建て住宅の基礎は、土工事、鉄筋工事、型枠工事およびコンクリート工事をそれぞれ専門の職人さんによって施工されていきます。
しかし、PC=BASE の基礎の場合は、鉄筋の加工や組立て、型枠の製作を工場で行うことにより高い精度が確保されています。
それにより現場での鉄筋や型枠などの配置・組立ては容易に早く施工することが出来ます。
すべてのパーツが1 人で運べるサイズや重さで作られているのも利点だと思います。
大きなプラモデルを組み立てるような感覚でした。
コンクリート工事において、プレパックドコンクリート工法を用いることにより、生コン車やポンプ車など必要なく、基礎の天端レベル出しまで同一材料で施工可能で、いわゆる余りコンはほとんど出ません。
また、PCa 板の梁用パーツは、型枠兼基礎梁部材となることにより撤去(脱型)する必要が無いので、打設コンクリートの良好な養生を行いながら次の工程に進める利点や、産業廃棄物を削減した環境に配慮されている商品だと感じました。
専門の職人さんでなくても建築施工管理技術者が1人いれば、少ない機材少ない人員で施工できる仕組みとなっています。
PC=BASE の基礎を施工してみて、現場での施工の容易さと工期の短縮を実感しました。
PC=BASE 開発者
藤井稔己